以前、ホーリーバジルの精油成分と糖尿病に関する論文をご紹介しましたが、
今回は、ホーリーバジル葉の水溶性成分についての論文です。 要するに水だしのお茶成分について調べたということでしょうか。
日々飲んでいるお茶の効果の真相に近いと思いまして、選んでみました。
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論文タイトル
『糖尿病ラットにおけるホーリーバジル葉の水性抽出物の抗酸化・抗高血糖および脂質低下効果』
【 研究目的]
糖尿病ラットにホーリーバジル葉の水性抽出物(以下AQOS)を投与し、抗高血糖作用、抗高脂血症作用、様々な重要臓器を保護する抗酸化作用を解明すること。特に下記について比較した。
・体重
・食事摂取量
・血糖値
・インスリン量
・各臓器に関する血液成分
【対象】
ラットを各7匹づつ、下記の3グループに分け比較した。
・グループ 1: 正常なラット
・グループ 2: 糖尿病ラット(血糖値200mg/dl以上)
・グループ3:AQOSを与えた糖尿病ラット
【方法】
ホーリーバジルは水洗いし乾燥させた葉を粉砕し、水で抽出したものをフリーズドライし粉末化した。1日1回3週間、約590 mg/kgbw/日の粉末を胃内挿管で与えた。
3週間後に血液を採取し、下記の成分を測定した。また、解剖し内臓組織の形態も評価した。
・脂質: 総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロール、
・肝機能:
血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェターゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)
・心臓損傷
血清乳酸デヒドロゲナーゼ (LDH) およびクレアチンキナーゼ MB サブユニット (CK-MB)
・ 腎機能: 血清クレアチニン、BUN(血中尿素窒素)
・ 組織の抗酸化活性
グルタチオンペルオキシダーゼ (GPx)、カタラーゼ (CAT)、スーパーオキシドジスムターゼ (SOD)
【結果】
●体重変化
未治療のラットの体重は3 週間を通して正常なラットよりも大幅に減少したが、 AQOS で治療したラットは増加した(左グラフ)。
● 食事摂取量の変化
食物摂取量は糖尿ラットで有意に増加し、AQOS処置した糖尿ラットでは3週目にわずかに減少した(右グラフ) 。
◆—正常ラット ■…糖尿ラット ▲---糖尿+AQUOSラット
●血糖値の変化
AQOS を3 週間与えることにより、糖尿ラットの高血糖をわずかではあるが有意に低下させた。
●インスリン量
血清インスリンレベルは糖尿ラットと比較しAQOSラットで有意に上昇した。
●脂質
糖尿ラットでは、総コレステロール、中性脂肪、 LDL-C が増加したが、AQOS糖尿ラットは中性脂肪以外は正常ラットと有意な差はみられなかった。
●肝機能、心臓損傷、腎機能
AQOS糖尿ラットでは、AST、ALT、ALP、LDHおよびCK-MBの高い血清レベルが糖尿ラットより有意に低かった。また、高レベルのクレアチニンと BUN の血清レベルを大幅に減少させた。
●肝臓・腎臓・心臓の抗酸化酵素の活性比較
肝臓:AQOS投与は、SOD 活性以外は高レベルの TBARS (酸化ストレス物質)を減少させ、GPx および CAT 活性を正常化した。
腎臓:AQOS投与により、高レベルの TBARS を正常化し、GPx および CAT 活性を上昇させたが、腎組織の SOD 活性に大きな影響を与えることはなかった。
心臓:AQOS投与は、GPx 活性と CAT 活性の両方に変化は無かったが、TBARS を軽減し、SOD 活性を正常ラットよりも大幅に上昇させた。
【結論】
ホーリーバジル葉の水抽出成分を3週間投与することにより
▶糖尿病ラットの血糖値および血清脂質を有意に低下させ、血清インスリン値は上昇させた。
▶フリーラジカル消去活性を有し、肝臓、腎臓および心臓組織におけるTBARS高値の抑制および抗酸化酵素活性の増強により、糖尿病からの臓器保護をもたらした。
▶AQOSに含まれるフェノール化合物が、抗高血糖、抗高脂血症および糖尿病に対する保護活性の原因である可能性がある。
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腎臓の CATと心臓の SOD を正常レベルよりも高いレベルまで上昇させた、というのがすごいなと思いました。
ホーリーバジルが抗酸化作用が強いと言われる所以ですね!
最後までお読みいただきありがとうございました。
Thamolwan Suanarunsawat at.al,
Food and Nutrition Sciences, 2014, 5, 801-811
※表及び図は文献より引用させて頂きました。
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